一般向け骨・軟部腫瘍グループ紹介

はじめに

骨・軟部腫瘍とは、骨及び軟部組織(筋肉、神経、血管、脂肪など)から発生する腫瘍の総称です。骨・軟部組織から発生する非上皮性悪性腫瘍は「肉腫」と呼ばれ、内臓組織などから発生する上皮性悪性腫瘍である「がん」とは区別されます。「肉腫」は「がん」に比べて発生頻度は少ないものの、骨や軟部の様々な組織から発生し種類が豊富であるため、診断や治療が難しい分野の1つです。

当グループで扱う疾患

良性及び悪性の原発性骨・軟部腫瘍、転移性骨・軟部腫瘍、腫瘍類似疾患を対象としています。

1. 原発性良性骨腫瘍

骨軟骨腫、内軟骨腫、類骨骨腫、骨巨細胞腫が代表的な疾患です。骨の出っ張りや疼痛などの自覚症状、又は骨折を生じるなどして発見されます。時折、別な理由で単純X線を撮影して偶然気づかれることもあります。

2. 原発性悪性骨腫瘍

骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫が代表的な疾患です。各腫瘍に特有の症状はありませんが、けがをしないのに痛みや腫れが出現し、長く続くことが多いようです。良性に比べ骨破壊が強く、発見が遅れると病的骨折や遠隔転移を生じ予後不良となるため初期診断が重要です。

3. 原発性良性軟部腫瘍

通常、四肢や体幹部のしこりとして気づきます。頻度の高い疾患として、脂肪腫、神経鞘腫、血管腫が含まれます。痛み(自発痛や圧痛)を伴うこともありますが、多くは無痛性です。

4. 原発性悪性軟部腫瘍

四肢や体幹部のしこりとして気づきます。良性軟部腫瘍と同様に多くは無痛性です。急速に大きくなるものや5cmを越える硬い腫瘤は悪性の可能性が高く注意が必要です。

5. 転移性骨・軟部腫瘍

がんや肉腫が骨に転移を起こした転移性骨腫瘍、がんや肉腫が軟部組織に転移を起こした転移性軟部腫瘍が含まれます。転移性軟部腫瘍はかなり稀ですが、転移性骨腫瘍は悪性骨腫瘍の大半を占めます。また、治療の進歩に伴ってがん患者の生命予後が改善され、日常診療で遭遇する頻度はさらに増しています。

6. 腫瘍類似疾患

骨や軟部に発生するものの、真の腫瘍と判断できない病変のことを呼びます。骨に発生するものとして単発性骨嚢腫、線維性骨異形成、非骨化性線維腫が、軟部に発生するものとしてガングリオンや粉瘤が挙げられます。臨床症状や治療方針は原発性良性骨・軟部腫瘍と同様です。

	腫瘍類似疾患

	腫瘍類似疾患

骨・軟部腫瘍の診断

 骨軟部腫瘍の診断は、患者年齢、既往歴や家族歴、臨床症状の詳細な聴取から始まり、理学所見と画像所見を主体として診断を進めます。様々な画像診断ツールの中で、単純レントゲン撮影、CT、MRIが基本となります。
 骨腫瘍の場合、患者年齢、発生部位、特徴的な単純レントゲン所見からほとんどが診断可能であり、CTやMRIを行うことにより良悪性の判定はさらに確実に行えます。軟部腫瘍の場合は、患者年齢や発生部位は重要なヒントになりますが、特徴的な画像所見を呈することが少なく、多くは診断不能です。一般的に、深在性(筋膜より深いところ)で5cmを越える弾性硬の腫瘤は悪性を疑います。
 最終的には病理組織学的な診断が重要であるため、良悪性の判定が困難な場合は腫瘍組織の一部を採取して顕微鏡で検査する生検(針生検、切開生検、切除生検)が行われます。はじめにも述べたように、骨・軟部腫瘍は良性・悪性を含め様々な種類があるため診断が難しく、不適切な生検により診断がつかないことや治療上の問題を起こすことがあります。悪性の可能性がある場合には、生検も含めて骨・軟部腫瘍を専門とする医師がいる病院で診断と治療を受けることが大切です。青森県において、骨・軟部腫瘍を専門とする医師が常勤している病院は当院と国立病院機構弘前病院の2施設のみです。

	骨・軟部腫瘍の診断

骨・軟部腫瘍の治療

骨・軟部腫瘍の治療

良性骨腫瘍や骨腫瘍類似疾患は、特に治療を必要としないものから早期に専門的な治療を必要とするものまで様々です。手術は診断を確実にするため、痛みや変形などの症状をとるために行います。隆起している腫瘍を切除する場合や、骨内の腫瘍を掻爬(そうは:掻き出すこと)して人工骨や自家骨を移植します。
 良性軟部腫瘍や軟部腫瘍類似疾患は、検査で良性と判断された場合、すぐに手術を行う必要はありません。腫瘤の増大に伴う痛みや日常生活動作への支障があれば切除術を行います。

骨・軟部腫瘍の治療

 原発性悪性骨・軟部腫瘍では手術・化学療法(抗がん剤による治療)・放射線治療を組み合わせた集学的治療が行われます。病理組織診断や患者の病期に応じて治療法が決定され、骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫では術前術後化学療法と手術が行われます。手術は腫瘍組織だけでなく周囲の健常組織も含めて切除する腫瘍広範切除術を原則とします。手術で切除した部位を元に戻す手段(再建法)として、人工関節を用いる方法や他の場所から骨を移植する方法が行われます。場合によっては四肢を切断することもあります。手術が不能な状態の患者に対しては、化学療法と放射線治療を組み合わせて根治を目指します。軟骨肉腫は化学療法と放射線治療のどちらも効かないため、手術のみの治療となります。最近では、骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫以外の軟部肉腫に対しても、術前術後化学療法と手術の併用で根治性が高まるとする報告を認め、我々も適応を慎重に判断し術前術後化学療法を行う方針としています。
 転移性骨(軟部)腫瘍に関しては、原発巣を担当する医師と十分に話し合い全身状態を把握しなければいけません。抗がん剤、ホルモン治療、骨吸収抑制剤、放射線治療を併用し、適応があれば手術治療も行います。

骨・軟部腫瘍の治療

PAGE TOP