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「日常診療のエッセンス下肢」のご紹介

弘前大学医学部附属病院整形外科 和田簡一郎


 日本は超高齢社会を迎え、健康寿命の伸延が国をあげた重要なテーマとなっています。加えて、仕事、社会での役割から趣味に至るまで、健康であるための目的も多様化がすすんでいます。運動器診療では、高齢者の骨粗鬆症性骨折や退行性疾患に加えて、乳幼児、小児疾患、若年期のスポーツ損傷、外傷まで幅の広い疾患の知識、診療技術が求められます。
 競技スポーツにおける低年齢化や高度化、健康維持のための健康スポーツの普久は、スポーツ損傷に対するアプローチも変化させてきています。その治療によって単に疾患を治すだけではなく、競技復帰から再発予防、生活習慣予防まで目指すゴールの幅も広がっています。小児のスポーツ障害は増加している一方で、内反足のような小児疾患を一般診療で診る機会は減少しました。しかしながら、先天性疾患であれスポーツ障害であれ、小児疾患の初期治療の重要性は変わるものではありません。2016年から学校保健法施行規則が改正され、運動器検診が学校検診に取り入れられ、小児における整形外科疾患も予防の時代に入ってきています。また、整形外科領域においては、今も骨折・脱臼などの外傷治療が基本ではありますが、骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折や変形性関節症といった退行性疾患を扱う機会が増えています。この様に、社会の変化によって、整形外科疾患が増加するばかりではなく、求められる整形外科医の役割が益々多様化することになり、結果として、整形外科医に求められる技術は高度なものとなっていきます。日本の整形外科医は運動器の専門家として、初期診断、保存治療から手術治療、そして疾患の予防にまで広く携わっていかなければなりません。
 本書には、運動器の中でも下肢疾患を中心に日常診療のエッセンスをまとめられています。特徴としては、股関節、膝関節、足関節・足部と解剖学的な部位毎に小児疾患から、外傷、退行性疾患、スポーツ損傷、脊椎疾患、末梢神経障害などがまとめられており、さらに疾患の理解に必要な運動器の解剖からバイオメカニクスも確認できることです。各分野の専門家により執筆されており、単に疾患の診断と治療の解説にとどまらず、実診察における基本姿勢から診断、保存治療、そして手術治療にいたる過程が分かり易く解説されています。整形外科専門医を目指す先生方を対象に企画された本書ではありますが、医学部学生や理学療法士、専門医の先生方のお手元においていただき、ご活用いただけますと幸いです。



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