GOTS-KOSSM-JOSSMトラベリングフェロー報告記

弘前大学大学院医学研究科　整形外科　木村由佳

　このたびGOTS-KOSSM-JOSSM travelling fellowとして選出していただき、2023年5月19日から2023年6月17日まで、ドイツ、オーストリア、スイス、ルクセンブルグを訪問する機会をいただきましたので、その研修内容について報告致します。このフェローシップは1991年に開始された歴史あるもので、韓国整形外科スポーツ医学会（KOSSM）と日本整形外科スポーツ医学会（JOSSM）からのフェローとGOTS（Gesellschaft fur Orthopadisch-Traumatologische Sportmedizin:ドイツ・オーストリア・スイスのドイツ語圏3カ国による整形外科スポーツ医学会）からのフェローが1年おきに相互に行き来しています。弘前大学からは第1回に岡村良久先生、第3回に伊藤淳二先生、第17回に津田英一先生、第21回に山本祐司先生がこれまで選出されています。弘前大学でもGOTSからのフェローをこれまで何度か受け入れており、自分もいつか行ってみたいと思っておりました。
　第31回のフェローはKOSSMからKyungpook National UniversityのJong Pil Yoon先生とWonkwang UniversityのSung Hyun Lee先生、JOSSMからは神戸大学の星野祐一先生と自分の4人でした。当初、2021年のフェローとして2020年に応募したものでしたが、世界的な新型コロナウイルス流行の影響のため、日程の目途がなかなかつかず、このまま流れてしまうのではないか、と心配しておりました。2022年の秋にGOTSからのフェローが来日し、今回ようやく訪問が実現しました。
　今回は4週間で4か国11都市に滞在しました。ドイツのフランクフルト空港で集合し、その後、Osnabrück、Rostock、Berlin、Krems、Wien、Salzburg 、Basel、Zülich、Heidelbergを訪問し、最後にLuxemburgでGOTSの学会に参加して終了、という日程でした。ドイツ国内では南アフリカのフェロー2人と一緒になり、6人での旅でした。基本的に電車での移動でしたが、ドイツ語の表示やアナウンスはよくわからず、列車のキャンセルがあったり、乗り換え時間が短いけど大丈夫か、指定席が無いかも、など緊張することもありましたが、車窓からの風景は非常に美しく、とても貴重な体験であったと思います。平日の1日は朝7時前後からカンファレンスに出席し、その後、手術見学や院内の見学、観光、ディナー、ホテルに帰って洗濯をして寝る、という毎日でした。週末には観光をして、ヨーロッパの分化や歴史を学び、スポーツアクティビティーやハンドボール観戦などに行きました。
　手術は、膝・肩・股関節の関節鏡手術や軟骨損傷の手術、骨切りや人工関節などがあり、実際に手洗いして手術に入る機会もありました。膝の手術では、ACL再建や半月の手術、膝蓋骨不安定症の手術のほか、ACL不全に対するslope-reduction osteotomyなど初めて見るものや、軟骨損傷の手術では日本には導入されていないmatrixやACIなど興味深い内容ばかりでした。症例や手術の内容について、訪問先のドクターやフェローでディスカッションしたことも大変勉強になりました。また、外傷センターやリハビリテーション、トップアスリートのトレーニング施設の見学のほか、スポーツのフェローということで、朝のランニング、カヌーツアーやトレーニングの体験など盛り沢山の毎日でした。夜のディナーでは毎日、欠かさずビールを飲み、整形外科の働き方やgender diversityについて、レジデントの獲得や教育、医療制度など毎晩遅くまで語り合い、多くの先生方と交流できました。最後にGOTSの学会に参加した際には、これまで訪問した施設の先生方と再会することができました。何人かの先生に、どこが一番良かったかと聞かれましたが、本当に全てが貴重な体験であったと思いました。
　このような貴重な機会を与えていただきました日本整形外科スポーツ医学会の理事、国際委員の先生方、事務局の方、また石橋教授、スポーツグループの先生方に心から感謝申し上げます。

• Klinikum Osnabrück
• 手術見学
  (Martin Luther Hospital)
• Salzburgにて
• モーニングラン(Heidelberg)
• GOTS congress
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