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留学寄稿

留学寄稿 熊原 遼太郎

奈良県立医科大学 留学報告

 令和3年10月から12月までの3か月間、奈良県立医科大学に国内留学をさせて頂きましたので、ご報告させて頂きます。
 奈良県立医科大学は足の外科の総本山と言われており、田中教授はじめ谷口准教授、黒川先生、宮本先生の4人体制で診療にあたっておりました。さらに後期研修医の先生、私よりも前に留学されていた先生も含め、計7名と活気ある診療グループでした。
 私自身、奈良に留学するまで足の外科の手術はほとんど経験がありませんでした。足の外科領域での慢性疾患の治療を見たことがなかったので、留学に際し大きな不安がありました。出来るだけ知識を蓄えて奈良に行きましたが、日々の診療は驚きの連続であり、不安を感じる暇などありませんでした。まず手術麻酔は基本的に下腿ブロックが主体で、3か月間で41例の手術を経験しましたが、全身麻酔は1件、腰椎麻酔にいたっては0件でした。奈良県立医科大学は、超音波治療にもかなり力を入れており、末梢神経ブロックを最大限に駆使しておりました。実際に下腿ブロックを何例も経験させて頂きましたが、切れ味は抜群で、入室後にすぐに手術を行える、術中の体位変換が容易、術後の疼痛管理が楽と、医師にとっても、患者さんにとってもメリットしかありませんでした。今後、青森県内でも普及していくべき手技だと感じました。
 手術は、慢性疾患がほとんどでした。特に力をいれていたのは変形性足関節症に対する人工足関節置換術でした。距骨をオーダーメイドのコンポーネントに入れ替えるcombined TAA(Total Ankle Arthroplasty)が主体であり、術後の患者さんの満足度を目の当たりにし、自分でも執刀できる手術にしたいと強く思いました。他にも、変形が高度の外反母趾や外反偏平足の手術も見学でき、非常に勉強になりました。最後の週には、実際に外反母趾の手術を執刀させて頂き、貴重な経験となりました。
 また留学期間中に足の外科学会が東京で開催され、奈良の足の外科グループは全員現地参加とのことで、久しぶりに現地で学会を楽しむことができました。コアな内容のセッションが多かったですが、若手の先生方の発表も多くあり、多くの刺激を受けました。

 3か月という短期留学ではありましたが、得られたものは多かったと感じております。今回国内留学という貴重な機会を頂き、石橋教授、浅利医局長はじめ、大学スタッフの先生方にこの場を借りて感謝申し上げます。この経験を少しでも教室に還元できるように、より一層精進して参ります。


留学寄稿 熊原 遼太郎
術場での写真。左から、田中教授、武田先生(留学生)、筆者、宮本先生、辻本先生(後期研修医)。
終始和やかな雰囲気でした。


留学寄稿 熊原 遼太郎
足の外科学会での懇親会の写真。左から、武田先生(留学生)、田中教授、高倉名誉教授、筆者。


留学寄稿 熊原 遼太郎
妻と一緒に休日は観光スポットにも行きました。


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