留学寄稿
留学寄稿 千葉 大輔
2018年4月から2019年11月まで米国ピッツバーグ大学整形外科に留学をさせて頂きました.ピッツバーグは米国の北東部ペンシルベニア州にある古くは鉄鋼業で栄えた街です.現在は重工業で栄えた面影を潜めており,ピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学をはじめとする総合大学に若者が多く集まる平和で活気のある街です.私は学生達がひしめき合う地区に居を構え,Research fellowとして約1年半の留学生活を行いました.
留学中の生活は,MentorであるFreddie Fu教授の外来や手術見学を行い,所属先の実験室であるBiodynamics Lab. (https://bdl.pitt.edu)で膝関節の生体力学研究に取り組みました.実際のヒトのボランティアにご協力頂き,ランニング動作の際の膝関節の実際の挙動を透視画像に記録し,対象個々人の3DCTから作成した骨モデルを同期させ,術前後の動態を観察するという非常にユニークかつ最先端の研究に携わることができました.研究の進捗は常にFu先生やラボのmentorであるWilliam Anderst先生に報告し,様々なfeedbackを受けました.留学中の研究成果は無事に整形外科のTop journalであるAmerican Journal of Sports Medicineにpublicationすることが出来ました.この雑誌に研究の成果を掲載することは一つの目標でした.ピッツバーグ大学整形外科には日本人のみならず,世界中から多くのFellow達がFu先生の元を訪れ,沢山の仲間が出来ました.特に日本人Fellowの先生達には留学のセットアップや研究の相談,休暇を共にしたり,悩みを共有したりとお互いに助け合って留学生活をenjoyすることができたと思います.
アメリカで出会った人達,ピッツバーグや旅先で見た様々な景色は,日本の日常とはあまりにもかけ離れており,言葉通りのculture shockでした.留学生活の1年半で私の人生に対する価値観・物の考え方は180°変ってしまいました.留学に来て最初の2-3ヶ月は会話が出来ない苦しみから,夕暮れに近所の公園(Schenley Park, https://pittsburghparks.org/explore-your-parks/regional-parks/schenley-park/)で途方に暮れていました.逃げていてはダメだと思い,自分のdutyが終わった夕方から教会や図書館のEnglish Second Learning の ボランティアの人達と何度も英語のディスカッションや会話を続けました.続けることで少しずつ自分自身を変えることができたと思います.週末は十分な余暇もあり,購入時に12万km走行済みのオンボロフォレスターを転がして色々な所に家族と出かけました.途中で故障しかけてヒヤヒヤしながら運転しましたが,何とかなるものでした.お陰で近所の自動車修理の工場のオジサンともすっかり仲良くなりました.3人の子供達は,それぞれ地元の小学校・幼稚園に通いましたが,あっという間に沢山の友達を作り,英語で会話をしている彼らを見て,その適応能力に感動しました. きっと,彼らの人生にとっても良い刺激になったはずです.
唯一無二の経験を与えて頂いた石橋教授や熊谷医局長をはじめとする医局員の先生方,”Patient First”と“Passion”を吹き込んで頂いたFreddie Fu先生,親身になって自分の面倒を見てくれた実験室のWilliam Anderst先生とラボの仲間達,Fu family のfellowの仲間達,留学中に何度も挫折しそうになった自分を支えてくれた妻と,元気な笑顔で私を救ってくれた子供達に感謝しています.
研究・実績
- 研究内容
- →脊椎・脊髄外科グループ
- →スポーツ整形外科グループ
- →関節グループ
- →手外科・外傷再建グループ
- →骨・軟部腫瘍グループ
- →業績集
- →書籍集
- →受賞・表彰
- →留学寄稿