受賞・表彰

第24回 体力栄養免疫学会 倉掛賞 受賞報告

弘前大学大学院医学研究科 整形外科学講座 大学院3年生 千葉大輔

 第24回 体力栄養免疫学会において若手研究者を対象に授与される倉掛賞を受賞しましたので、この場をお借りして報告させて頂きます。私は社会医学講座の先生達とタイアップして変形性膝関節症に対する疫学調査をテーマに研究に取り組んでおります。変形性膝関節症は主に軟骨の変性や摩耗を生じる膝関節の慢性変性疾患で日本だけではなく、世界中に沢山の治療を必要とする方がいます。本邦でも約5〜6人に1人が罹患していると考えられておりますが、その数とは対称的に、病態は不明な点が多く、依然として研究すべき課題が多く残されています。

 私は岩木健康増進プロジェクトの会場に大きな超音波測定器を持ち込んで毎年1,000以上の住民の方の膝の内部を観察させて頂き、そこから得られた多くの情報を解析しました。その結果、膝関節の中にある水腫(いわゆる『膝に水が溜まる』)が膝の痛みや機能低下に強く関連することが分かりました。これまで膝関節水腫については漠然と水が溜まっていると考えるだけで、水腫を定量的に評価した研究は少なく、関節水腫を適切にコントロールすることが変形性膝関節症で生活に支障を来す多くの方達に有用な治療となる可能性を示唆することが出来ました。また、今年のデータを基盤として『膝に水が溜まる』現象がもたらす危険性を追求して行きたいと思います。

 今回の受賞は研究の指導や調査の御協力を頂いた石橋教授を中心とした整形外科学講座のスタッフの皆様、疫学調査の醍醐味を教えて頂いた中路教授や高橋准教授を中心とした社会医学講座のスタッフの皆様、そして調査の折に暖かく弘前大学のスタッフを迎えて下さる岩木地区の住民の皆様の御協力の賜物であります。この場を借りて深く感謝致します。弘前大学の理念は『世界に発信し、地域と共に創造する』です。お世話になった青森から世界に向けた情報を発信し続けていくことが目標です。あまり『若い』とは言えない歳になってきましたが、気持ちは若く保ちながら、一層気合いを入れて研鑽を積んで参りたいと思います。


第24回 体力栄養免疫学会 倉掛賞 受賞報告

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