受賞・表彰
第49回日本脊髄障害医学会学会奨励賞を受賞して
弘前大大学院医学研究科整形外科 熊谷玄太郎
このたびは2014年9月11日から12日に旭川で行われた第49回日本脊髄障害医学会において臨床部門の学会奨励賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。今回受賞したテーマは脊椎・脊髄損傷患者における経時的D-ダイマー測定の意義でした。学会の最初のセッションで学会奨励賞プレナリーセッションに基礎4演題、臨床6演題ノミネートされておりました。発表後に審査され、昼の総会で基礎部門1題、臨床部門1題学会奨励賞として発表されました。まさか選ばれると思っていなかったので弘前大学の~と紹介を受けた際には非常に驚きました。しかも、授賞式では慶應義塾大学国内留学時代にお世話になった整形外科教授戸山理事長より賞状を頂き感無量でした。この演題の内容は脊椎脊髄損傷患者における静脈血栓塞栓症(VTE)早期発見のため、受傷直後から頻回にD-dimerを測定する意義を検証したものです。対象は2011年1月以降に当科入院となった脊椎・脊髄損傷患者53例であり、前向きプロトコールとして入院時、入院(手術)後1、2、3、5、7、14日目にD-dimerを測定し、一度低下した後に再上昇(10µg/dl以上)した全症例に造影CTを施行し、VTEを診断しました。結果は53例中11例でD-dimerの再上昇を認め、7例で無症候性VTEの発生を認めました(3、5、7、14日目それぞれ1、1、2、3例)。VTE発生7例中5例はASIA分類(脊髄損傷の麻痺の重症度分類)で完全麻痺のAでした。したがって、脊椎脊髄損傷では受傷時からD-dimerは高値であり、VTE発生のカットオフ値を決定することは難しいですが、経時的に測定し、その変化からVTEを早期に発見し、症候性VTEを予防できる可能性があることが示唆されました。このことは、今後の脊髄損傷患者管理において非常に参考になる結果と思います。最後になりますが、ご指導くださった石橋恭之教授をはじめ、関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。
写真は右から日本脊髄障害医学会理事長(慶應義塾大学整形外科教授)戸山先生、
基礎部門受賞者東京医科歯科大学角谷先生、
私、学会長の旭川医科大学腎泌尿器外科教授柿崎先生
研究・実績
- 研究内容
- →脊椎・脊髄外科グループ
- →スポーツ整形外科グループ
- →関節グループ
- →手外科・外傷再建グループ
- →骨・軟部腫瘍グループ
- →業績集
- →書籍集
- →受賞・表彰
- →留学寄稿