受賞・表彰
第63回東日本整形災害外科学会 学術集会奨励賞を受賞して
弘前大学大学院医学研究科 整形外科学講座 助教 木村由佳
このたび、第63回東日本整形災害外科学会における学術集会奨励賞を受賞しましたので、ご報告致します。この賞は2014年の学術集会で発表し、その後に学会誌である東日本整形災害外科学会雑誌に掲載された論文の中から選ばれました。受賞論文のタイトルは「外側円板状半月術後に生じた大腿骨外顆骨軟骨病変に関するMRI画像の検討」です。通常の外側半月板と形態が異なる円板状半月は、日本をはじめアジアでは比較的多くみられ、小児や若年者の半月損傷の原因となります。円板状半月は損傷しやすく、疼痛や膝の伸展制限などをきたした場合には手術適応となりますが、術後に離断性骨軟骨炎といった二次性の骨軟骨病変を合併することが知られております。これまでは半月板損傷を生じると(亜)全切除が行われておりましたが、半月板の機能温存についての重要性が認識されるようになるにつれて、近年では(亜)全切除を行われることは少なくなり、損傷部を切除し半月の形態とする形成的部分切除、さらには縫合術の併用など、術式が変化しております。しかしながら、これらの術式の違いによる骨軟骨病変の発症については明らかになっておりません。本発表では形成的部分切除単独と形成的部分切除に縫合術を併用した術式により骨軟骨病変の発生頻度を調べました。結果として術式の違いによる骨軟骨病変の発生率に有意差はなく、円板状半月のタイプ(完全型または不完全型)が影響しておりました。半月機能温存という観点からは切除範囲を少なくして半月板縫合を行うことが推奨されますが、骨軟骨病変の発生を抑制するまでは至りませんでした。半月板縫合術による半月板機能温存の限界とも考えられ、手術方法に関してもさらなる改良の余地があるのではないかと思われます。術式による検討であるため、手術時期や経過観察期間などの問題点はあり、症例数も十分とはいえませんが、今後、円板状半月損傷の手術方法ついて考える上では重要な課題の一つと考えます。
ご指導いただきました石橋教授、津田准教授はじめ教室の多くの先生方にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。今回の研究結果を日々の臨床や今後の研究にいかせるよう、より一層精進していきたいと思います。今後ともご指導のほどよろしくお願い致します。
研究・実績
- 研究内容
- →脊椎・脊髄外科グループ
- →スポーツ整形外科グループ
- →関節グループ
- →手外科・外傷再建グループ
- →骨・軟部腫瘍グループ
- →業績集
- →書籍集
- →受賞・表彰
- →留学寄稿