受賞・表彰
第23回日本クリニカルパス学会学術集会 最優秀演題賞 受賞報告
青森県立中央病院 原田義史
この度、2023年11月10、11日にさいたま市で開催された第23回日本クリニカルパス学会学術集会にて最優秀演題賞を受賞致しましたので、ご報告させていただきます。この賞は一般演題の中から10演題が候補としてノミネートされ、学会当日の学術集会賞セッションでの口演内容を評価して選出されます。
私の演題名は「高齢者に対する人工股関節全置換術パスのバリアンス分析」でした。クリニカルパスには術後に段階的なアウトカム(達成すべき成果・目標)が設定されており、アウトカムが達成できない場合をバリアンスとして評価します。当院では人工股関節全置換術患者に対して、年齢に関わらず同一のクリニカルパスを使用していました。運動機能が低下し基礎疾患を多く有する高齢者に対する人工股関節全置換術の安全性を、クリニカルパスのバリアンス分析を通して検討しました。75歳以上の高齢群では、術後4日目の歩行器歩行と術後7日目の杖歩行が不可能な割合が高く、リハに関するアウトカムのバリアンス発生率が高い結果でした。しかしながら、退院基準日である術後15日目より7日間以上退院が遅延した割合には有意差を認めず、退院遅延理由はリハ継続や転院調整が主でありました。高齢者であっても合併症に起因した退院遅延は少ないことから、若年者と同一のクリニカルパスを使用しても安全性は担保されていると思われました。また、退院遅延患者は4日目の歩行器歩行可能アウトカム未達成患者が多く(オッズ比 5.3倍)、クリティカルインディケーター(治療経過に重大な影響を与える可能性がある重要なアウトカム)と考えられました。
今回の受賞は、伊藤淳二先生が長年積み重ねてこられたクリニカルパスの取り組みなくしてはなしえなかった受賞です。また、発表にあたっては当院の多くの部署にご協力いただき、青森県立中央病院のクリニカルパスチームとしていただいた賞と感じています。この場を借りて深謝致します。
研究・実績
- 研究内容
- →脊椎・脊髄外科グループ
- →スポーツ整形外科グループ
- →関節グループ
- →手外科・外傷再建グループ
- →骨・軟部腫瘍グループ
- →業績集
- →書籍集
- →受賞・表彰
- →留学寄稿