受賞・表彰

第45回 東北骨代謝・骨粗鬆症研究会 臨床部門優秀賞の受賞報告

十和田市立中央病院 整形外科
市沢 歩美

 この度、2024年2月3日に仙台市で行われた第45回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会の臨床部門において優秀賞を受賞致しましたので、ご報告申し上げます。
 私の演題名は「デノスマブ投与後の逐次療法継続例における新規骨折発生例の検討」です。
 デノスマブは投与終了後に、骨代謝回転の急激な上昇(overshoot)や骨密度の低下によって多発椎体骨折を生じることが報告されていますが、症例報告が多くovershootに対する対策は明確にされておりません。本研究の目的は、デノスマブ投与後薬剤変更した症例を調査し、新規骨折予防に関連する因子を解析することでした。
 対象は2015年1月から2020年12月に当科で低容量デノスマブを使用した185例中、薬剤変更を行った14例(全例女性)を対象とし、骨折群と非骨折群とに分け比較しました。結果は、新規骨折例は6例(43%)(骨折群)で、椎体骨折4例、大腿骨骨折2例で、変更後骨折までの期間は平均11か月でした。デノスマブ開始時平均年齢、前治療薬と変更後薬剤、骨密度、追跡期間、デノスマブ投与期間は有意差を認めませんでした。TRACP-5bの推移は、デノスマブ開始時、6か月時は、両群で有意差を認めませんでした。薬剤変更後に非骨折群では低値を維持したのに対し、骨折群では、デノスマブ開始時よりも高値で再上昇をしていました。
 本研究結果より、デノスマブ投与後の逐次療法継続例においても、TRACP-5bが高値の場合には新規骨折発生の可能性があること、またTRACP-5bの推移からデノスマブ投与終了後の適切な薬剤選択(ゾレドロン酸静注などの静注を推奨し、リセドロン内服には注意を要する)をおこなうことが重要であると考えられました。
 今回の受賞にあたり、ご指導を頂きました石橋教授、和田先生、板橋先生をはじめ、弘前大学整形外科の先生方、当院整形外科の先生方に深く感謝申し上げます。これからも日々精進して参りますので、ご指導、ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い致します。

第45回 東北骨代謝・骨粗鬆症研究会 臨床部門優秀賞の受賞報告

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