受賞・表彰
第58回日本側弯症学会学術集会 ベストペーパー賞を受賞して
市立函館病院 整形外科
新戸部 陽士郎
この度、2024年11月1日から2日に福岡県福岡市で行われました第58回日本側弯症学会学術集会において、ベストペーパー賞を受賞しましたのでご報告申し上げます。この論文は思春期特発性側弯症の骨代謝について調査した研究です。現在は脊柱の弯曲が重度となった思春期特発性側弯症は長範囲に脊柱を固定する手術を要するという状況ですが、いつか側弯症の子供達が手術をしなくても治るようになってほしい、という思いをこめて研究を行いました。
私の論文名は「思春期特発性側弯症における骨代謝マーカーと椎体楔状化、Cobb角の関連」でした。思春期特発性側弯症の原因は現在も不明な点が多く、病態の解明はより効果的で低侵襲な治療のために重要です。思春期特発性側弯症において骨密度低下や骨質不良がCobb角進行のリスク因子と報告されていますが、そのメカニズムは明らかではありません。本研究の目的は骨代謝マーカーと椎体楔状化、Cobb角重症度の関連を検討することでした。結果ですが、骨吸収マーカーであるNTxは椎体楔状化とCobb角の両方と正の相関を認めました。また年齢、NTx、骨形成マーカーであるBAPを独立変数とした多変量解析でも、NTxのみが椎体楔状化の有意な因子でした。本研究結果から、骨吸収の亢進が椎体楔状化を増大させCobb角が増大する、というメカニズムが示唆されました。本研究は骨代謝と椎体楔状化の関連を検討した初めての報告でした。
今回の賞は、青森県の側弯症治療を長期にわたって精力的に支えていただき、本研究のstudy designからスライド・論文作成まで熱くご指導いただいた、和田簡一郎先生のお陰様で受賞させていただきました。ここに深謝申し上げます。そしてご指導くださった石橋恭之教授、脊椎班の先生方をはじめとする弘前大学整形外科学講座の先生方に深く感謝申し上げます。
研究・実績
- 研究内容
- →脊椎・脊髄外科グループ
- →スポーツ整形外科グループ
- →関節グループ
- →手外科・外傷再建グループ
- →骨・軟部腫瘍グループ
- →業績集
- →書籍集
- →受賞・表彰
- →留学寄稿